当ガイドラインの優先度とWCAG 2.1の適合レベルについて

各ガイドラインには、[MUST]または[SHOULD]のいずれかの優先度を割り振っています。

この優先度の決定に当たって、まずWCAG 2.1の各達成基準を精査しました。各達成基準に割り当てられている適合レベルについて、freeeのプロダクトの性質などを考慮して見直し、一部の達成基準についてはWCAG 2.1が示すものとは異なる適合レベルを前提とすることにしました。

ここでは、見直しの結果WCAG 2.1が示しているものとは異なる適合レベルを前提とすることになった達成基準の一覧と、適合レベルを見直した理由を示します。

適合レベルを見直した理由

適合レベルを見直した多くの達成基準は、freeeのプロダクトにおいてより重要性が高いものであるという判断の下に、WCAG 2.1に示されているより高い適合レベルを前提とすることにしたものです。これとは異なる理由で適合レベルを見直した達成基準について、その理由を以下に示します。

達成基準1.2.6手話 (収録済)

音声情報を聴覚障害者にも利用できるようにするための手段として、字幕を付ける方法と手話通訳を付ける方法があります。聴覚障害者の中には、文字を用いたコミュニケーションがより得意な人と手話を用いたコミュニケーションがより得意な人がいます。(もちろん両方を同等に行える人もいます。)

文字情報と手話のどちらが有効化はユーザーによって異なるため、情報保障の観点からはどちらも同等に重要です。当ガイドラインではWCAG 2.1で適合レベルがAAAの達成基準は対象としない方針なので、WCAG 2.1が示す適合レベルのままでは、仮に可能でも手話通訳の提供が考慮されないという事態が発生することが考えられます。

本来は字幕同様、Aとして扱うことが望ましいものですが、実現するための難易度も考慮して、AAとすることにしました。

達成基準1.3.5入力目的の特定

この達成基準では、ユーザーの入力を求めるフォーム・コントロールにおいて、入力が期待される情報の種類を明示することを求めています。この達成基準に関する解説Understanding Identify Input Purpose日本語訳)では、autocomplete属性の活用を具体的な方法として示しています。

autocomplete属性が用いられているフォーム・コントロールは、常に決まった値を入力する場合、入力すべき項目が少ない場合などには、入力を容易にする効果が期待できます。しかし、そうではない場合には、誤入力を誘発することにつながります。

freeeのプロダクトにおいては、その性質上フォーム・コントロールが多数存在するページも少なくなく、また常に一定の値を入力するわけではない項目も多数存在します。したがって、ガイドラインが示す条件を満たすために安易にautocomplete属性が用いられるようなことがあると、かえってユーザビリティーを損なう結果につながることが考えられます。

このようなことを考慮して、当ガイドラインではこの達成基準に対応する項目を設けないという判断に至りました。