制限時間とアクセシビリティー

ユーザーの中には、操作や情報の取得により長い時間を要する人がいます。

スクリーン・リーダーを利用している全盲のユーザーは、画面の広範囲に表示されている情報を一度に確認することができません。同様に、視野が狭かったり画面の拡大ソフトなどを用いていたりするロービジョンのユーザーも、画面の広範囲に表示されている情報を一度に確認することが困難です。このようなユーザーは、コンテンツの確認により多くの時間を要する場合があります。

一方、上肢が不自由なユーザーの場合、マウスやキーボードの操作により長い時間を要することがあります。また、マウスやキーボードの操作が難しいユーザーは、音声入力やその他の代替入力手段を利用しますが、このような場合も、一般的にマウスやキーボードを利用するよりも長い時間を要することがあります。

このように情報の取得やフォームの操作により長い時間が必要なユーザーの場合、もしフォームの入力などに制限時間が設定されていると、必要な操作を完了できないということが起こり得ます。また、なにも操作しない状態が一定時間続くとログイン・セッションが無効になるような設計の場合も、ユーザーの意図に反してログアウトしてしまうことにつながる可能性があります。

WCAG 2.1では、レベルAの達成基準で制限時間を設定する場合に満たすべき条件を示しています。

また、レベルAAAの達成基準では、そもそも制限時間を設定しないことを求めています。さらに、ユーザーの意図に反してログアウトした状態になったり、制限時間を超過した場合に、直前の操作を継続できるようにすることを求めています。

当ガイドラインは、基本的にはWCAG 2.1のレベルAとレベルAAの達成基準に基づいていますが、実際には不要な場合でも安易に制限時間を設定するようなことは避けるべきであるという観点から、レベルAAAの達成基準に基づいたガイドライン項目も設けています。

関連ガイドライン項目