マウスオーバー(ホバー)で表示されるコンテンツと拡大表示

マウス・ポインターのマウスオーバー(ホバー)やキーボード・フォーカスを受け取ったことがトリガーになって新たなコンテンツが表示される場合、特に拡大表示を利用しているロービジョンのユーザーのアクセスを阻害する可能性があります。

拡大表示を利用している場合、一度に画面に表示されるのはコンテンツの一部分に過ぎません。ユーザーはマウス・ポインターを移動させることで、拡大表示する部分を切り替えながら、最終的にコンテンツ全体を理解するという作業をします。

まず、この一連の動作の中で、マウス・ポインターが意図せずしてマウスオーバー表示をトリガーしてしまうことがあります。そして、こうして表示されたコンテンツによってそれまで閲覧していたコンテンツや操作しようとしていたコンポーネントが適切に表示されなくなり、動作を続けられなくなる場合があります。

もちろん、マウスオーバーで表示されたコンテンツが他のコンテンツの利用を阻害しないようにすれば問題はありませんが、ユーザーによって異なる様々な拡大率のすべてを想定することは現実的ではありません。もしこのとき、マウス・ポインターを移動させずに、例えばEscキーを押すことでマウスオーバー表示されたコンテンツを非表示にすることができれば、ユーザーはそれまで行っていた動作を容易に継続することができます。

一方、マウスオーバーで表示されたコンテンツを拡大表示を用いているユーザーが読みたい場合、特に表示されたコンテンツが占める領域が大きい場合には、表示されたコンテンツをスクロールさせるような操作が必要になります。しかし、もしマウス・ポインターがマウスオーバーのトリガーとなったオブジェクトから離れることでそのコンテンツが非表示になってしまうと、こういった操作を行えなくなります。この問題を回避するために、マウスオーバーで新たに表示されたコンテンツ上にマウス・ポインターがある場合も、その表示が継続されるようにすることが求められています。

このように、拡大表示を用いている場合は、用いていない場合と比較してより多くの操作が必要となり、同じコンテンツを読むのにもより時間がかかる場合があります。そのため、マウスオーバー表示されたコンテンツを非表示にする操作をユーザーが能動的にした場合と、表示されているものが意味を持たなくなった場合(例えば「読み込み中……」といったメッセージなど)以外には、基本的にマウスオーバー表示されたコンテンツを自動的に非表示にしないことが求められています。

これらの基準を満たしていても、マウスオーバー表示のトリガーとなるオブジェクトの位置と実際に表示されるコンテンツの表示位置が離れていると、ユーザーはその表示に気づかない場合があるという点には注意が必要です。本当にマウスオーバーによる表示が最善の方法なのか、よく検討する必要があるでしょう。

なお、マウスオーバーをトリガーとする場合、キーボード操作を可能にするを満たすために、キーボード・フォーカスも合わせてトリガーにする必要がある点に十分注意する必要があります。

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